わさおの俳句ポスト投稿・冬凪やああ冬凪や冬凪や
冬の厳しさが続いている中、俳句作りのサイトで日本で最も熱気に包まれているのは、「俳句ポスト365」であろう。「俳句ポスト365」は、愛媛県の松山市が運営する俳句の投稿サイトだ。
「俳句ポスト365」では、入選が「天、地、人、並」に分かれる。入選の「天、地、人、並」の内訳は、各回、天の俳句1句、地の俳句10句のほか、大体、人選の俳句200句、並選の俳句300句だ。
人選と並選の入選句といえども、全体3,000句程度のたった17%にすぎない。
天・地の俳句になると、全体3,000句の中で11句だ。これは、至難中の至難である。津軽を拠点とする俳句集団「宇宙(そら)」のメンバー5人による天・地の俳句への挑戦は、これまで8回を数えるが、まだ天・地の俳句に入ったことはない。
直近の「俳句ポスト365」の第136回 2015年12月10日週の兼題は、「冬凪(ふゆなぎ)」である。兼題の説明に曰く。
冬凪(冬の季語) とかく風が強く吹きすさび、海の荒れる日が多い冬にあって、風向きの変わるときなどに、しばらく風が止んで、海の波がおだやかになること。
兼題「冬凪」に係る天選1句と地選の10句を以下に掲げる。
冬凪や浜舐め戻す波うすし み藻砂 天選
帯電したまま冬凪を飛んでゐる Y音絵 地選
冬凪やフェリーの窓に乾く潮 矢野リンド 地選
冬凪や塩の欠片のやうに島 樫の木 地選
冬凪や固き漁協のメロンパン トポル 地選
冬凪の港に匂うC重油 スズキチ 地選
ぐつぐつと滾るアーク炉冬凪ぎぬ 比呂 無 地選 滾る(たぎる) 煮えたつ
冬凪や涸びし骨の蹴りごこち とおと 地選 涸びる(からびる) 水気がなくなる
冬凪や死んでも猫はやわらかく 江口小春 地選
冬凪や妻の座譲る日の朝の ぐわ 地選
リーマンゼータ関数めく冬凪 はとほる 地選
そして、以下に掲げるのは、俳句集団「宇宙(そら)」のメンバー5人による人選3句と並選3句である。人選3句と並選3句というのは、俳句集団結成後4か月弱の初心者集団としては、大健闘である。
冬凪や国後島に手が届く 津軽わさお 人選
冬凪の津軽のことは太宰に訊け 津軽ちゃう 人選
海峡の冬凪ぐ先は北海道 津軽まつ 人選
冬凪も頬突く痛さ生きてゆく 津軽まつ 並選
冬凪や啄木眠る立待岬 篠田ピンク 並選
冬凪げば乾いた魚旨味出る 野々原ラピ 並選
以上のように、天・地の俳句と人選・並選の俳句を並べてみると、違いが分かるような気がする。
当然のことながら、天・地の俳句の方が人選・並選の俳句よりも上手いのだが、どこが違うのか。それは、天・地の俳句の方が、着眼点がいいし、表現の仕方がいい。それによって、読者のなるほど感は、天・地の俳句の方が上回る。
だから、いい俳句を作るポイントは、できるだけいい着眼点で、できるだけいい表現で、できるだけ読者のなるほど感を上げることにある。ということを、今回、学ぶことができた。そこで、一句。
冬凪やああ冬凪や冬凪や
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