わさお日記

わさおの時事川柳・五行歌、俳句、短歌、十行歌、その他

わさおの俳句ポスト投稿・詩語の豊かなイメージ

 2015年9月29日、津軽の地に誕生した俳句集団「宇宙(そら)」は、津軽わさおが主宰を務める。メンバーは、主宰を含み、男子3人、女子2人の計5人と、小所帯である。

 俳句作りの研鑽、活躍の場は、専ら「俳句ポスト365」への投稿による。ここは、愛媛県松山市が運営する俳句の投稿サイトである。「俳句ポスト365」では、入選が「天、地、人、並」に分かれる。

 「俳句ポスト365」には、毎回、全国の700人程度から、3,000句程度が投稿され、そのうち入選句は500句程度だ。残り2,500句は、ボツとなる。17%が入選で、83%がボツというのは、厳しい。

 入選の「天、地、人、並」の内訳は、毎週、天の俳句1句、地の俳句10句のほか、大体、人選の俳句200句、並選の俳句300句といったところだ。

 俳句集団「宇宙(そら)」の関心は、どうしたら並→人→地→天と、上がっていけるかである。


 俳句集団「宇宙(そら)」の「俳句ポスト365」に対する投稿の第1回目は、第129回 2015年10月1日週の兼題「栗」であり、投稿結果は、次のとおりである。

津軽わさお作 並選

 三内丸山や文明わらう栗の巨柱

津軽まつ作  よしあきベストセレクション 

 ゆで栗はゆっくりゆっくり食べるのね

篠田ピンク作 並選

 踏まれてもにっこり笑う出落栗

野々原ラピ作 人選

 縄文の豊かな夜なり栗笑う

 この中で、青森市にある日本最大の縄文遺跡・三内丸山遺跡にちなむ二句が人選及び並選に入っている。
 

 この回における天の句とこれに関する選者の夏井いつき先生の講評が大変示唆に富み、重要である。以下に掲げる。

 いにしへのいのちの甕や栗集む クズウジュンイチ

 今回の兼題「栗」について、あれこれ調べていて、「栗」が縄文時代からの食べ物であったという事実を知り、へえ~!と思った人も多かったのではないでしょうか。「縄文」という言葉を詠み込んだ句、「人」選や並選にもありましたね。

 掲出句の一番の工夫は、「縄文」という言葉を使わずしてその時代を匂わせた点です。「いにしへ」「いのち」とイ音を響かせて調べを構成しました。

 「いにしへのいのちの甕」という詩語は豊かなイメージを持ってはいますが、抽象的な意味合いに読まれる可能性もあります。

 が、さすがはクズウジュンイチですね、下五が実に巧い! 下五に「栗」という季語が出現したとたん、「甕」に貯められているのが「栗」であることが分かると同時に、この「栗」が「いのち」を繋ぐための食物であることが分かります。

 季語の出現によって、一句は一気に映像化され、「いにしへのいのちの甕」という措辞は映像の中で生かされ、確たる意味を持ち始めます。

 さらにダメ押しの巧さを発揮しているのが、「集む」という動詞の選択。生きるための営みがこの一語によって、見える行為となります。「いにしえのいのちの甕」を満たした「栗」のひかりは、生きるという健気な美しさなのですね。


 私の人気ブログランキングへの応援のため、
 ポチッと↓をクリックお願いします。


   にほんブログ村 地域生活(街) 東北ブログへ
にほんブログ村