「なるほど感」
別題 わさおの俳句教室日誌・秋吟行~15.10.14分
2015年10月14日開催の俳句教室は、青森市の野木和公園における吟行を経たうえで行われた。
野木和公園は、青森市の西部丘陵地帯に位置し、園内は野木和湖を中心に静かな自然に囲まれている。
総面積は33.6ヘクタールあり、バードウォッチングを楽しむこともできる。春は、約900本の桜が咲き誇る桜の名所であり、桜は、1922年(大正11年)に住民が植えたものだという。私たちは、何気ない日常でも、歴史の中で生きているということになる。
園内の野木和湖は、ヘラブナ釣りで有名だったが、近年はブラックバス釣りが盛んである。
静かな自然に囲まれた野木和公園における吟行だから、5句以内で自由に詠めばいい。
以下に、10月14日の吟行によるわさおとKさんの俳句を掲げる。
津軽わさお作
つわものどもの夢のあとにも女郎花
ゆきずりの赤とんぼ我が肩につと
詠む我に桜の紅葉真っ赤っか
枯れすすき見れば見るほど枯れすすき
Kさん作
空からも足もとからも秋が来た
初冠雪野木和湖の鮒底の底
野木和湖も今は真っ赤な桜なり
かじかむ手野木和湖の風秋吟行
長谷川櫂先生の著書「決定版 一億人の俳句入門」の28頁以下によれば、俳句には、作者と読者、二つの驚きが必要である。
この驚きとは、はっと気づくことを指す。あっと驚くのではなく、静かに潜んでいるものにはっと気づく。
はっと驚く、はっと気づく。そのためには、二つの条件が要る。一つは、はっと気づくことが作者の心の中にあり、それが読者の心の中にもひっそりと潜んでいること。もう一つは、まだ(誰も)言葉にしたことがないこと。無意識のうちに感じていることを言葉にしたものを見たときに、人ははっと気づく。
俳句で詠まれていることに、「そうだ、なるほど」と思うときに、人ははっと気づく。その瞬間、作者と読者との間に共感が生まれる。
この「なるほど感」が重要である。俳句で詠まれていることに、「そうなんだ」とか「そうなの」とか「あっそう」だけで、「なるほど感」がないと、作者と読者との間に共感は生まれない。「なるほど感」があることが大事である。
今回の吟行における津軽わさお作とKさん作のそれぞれの俳句を比べた場合、「なるほど感」がある俳句は、Kさん作の方に多い。
そして、比べてみて気づくのは、俳句で詠まれていることが、抽象的であるよりは具象的である方が「なるほど感」があるということである。
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