高橋大輔選手・「仙台、出会いの瞬間」
フィギュアスケートの高橋大輔選手。ネットで遊んでいると、この男を巡る熱狂度が半端でない。男子たちは、静かに熱狂しているようだが、さすがに女子たちは熱い。
自分の旦那や息子、恋人などよりも、高橋大輔の一挙手一投足の方が気になって仕方がない、ような女子たちがわんさかいる。
ネット上だから、顔も名前も所も分からない人びとのことではあるが、大丈夫なんだろうか?と思ったりもする。まあ、しかし、いろいろなことがある日常生活、人生において、高橋選手を気にかけることが大きな活力源になっているのなら、マッ、イイか。
それにしても、高橋大輔の影響力や恐るべし。津軽のシニアブロガーは、高橋選手に熱狂することはないが、ただ、高橋大輔というさまざまな魅力ある人間力には大いに興味が湧く。
津軽に住んでいることもあり、私は、高橋大輔選手に関わることを調べるのは、専らネットによってである。今のインターネット時代は、ありがたい。世界中のありとあらゆることは、何でもネット先生が懇切丁寧に教えてくれる。
高橋選手が子どもの頃からのコーチである長光歌子コーチが高橋選手に宛てた手紙がある。「歌子先生からの手紙」だ。これについても、ネットで知った。
「歌子先生からの手紙」の書き出しは、次のように綴られている。
「キミに初めてであったのは。君が中学2年の夏休み、仙台・泉のリンクでしたね。私がリンクで滑っていると、英子さんに連れられてリンクに入ってきてリンクサイドに佇んでいました」
その時、高橋選手は13歳で、歌子先生は48歳。高橋選手は、13歳のまさに少年、ぼくちゃんだ。歌子先生は、48歳で、フィギュアスケートコーチとして、まさにバリバリだ。なお、高橋選手は、3月生まれだから、中学2年の夏休みは、まだ13歳だ。
目が会った瞬間、高橋ぼくちゃんは、歌子先生に怖さを感じた。その場面は、当然ながら、観ていないが、分かる。13歳の少年とは、そういうものだ。
その時、歌子先生は、アイスリンクの氷上にいて、高橋ぼくちゃんは、リンクサイドで歌子先生の方を見て立っていた。先生が高橋ぼくちゃんの方を見ると、入り口から光が射して、その光の中にぼくちゃんがいた。
二人の出会いの瞬間、光の中に高橋大輔少年が立っていたなんて、後年の高橋大輔選手を暗示していたんだね。高橋大輔には、いつでも、光がよく似合う。
歌子先生は、他の関係者から「先生の生徒でしょ」と聞かれ、「違うわ」と答えた。
この一期一会の場所は、東北は、仙台市泉区のアイスリンクだ。仙台は、元々、フィギュアスケートが盛んな土地柄だ。それに、夏休みは、日本列島の中で、比較的に過ごしやすい。だから、仙台で、将来の有望選手が集まって合宿が開かれる。ということのようだ。
以下、2010年5月26日付けの日本経済新聞の配信ニュースを参照させてもらう。
高橋大輔少年も、はるばる岡山県倉敷から仙台にやってきたわけだ。この合宿で、高橋少年は、振付師の先生に振り付けをしてもらうのも目的であった。「ワルソー・コンチェルト」の曲に取り組んでいる。
歌子先生が「中学2年には難しい曲や」と思っていたら、振付師が急用で帰ってしまった。人生では、大事なときに、何かが起きることの一例である。
その時、歌子先生は、高橋少年の才能を見抜いた。
振付師の代打に立った歌子先生は、接してみて、唸った。「動きが柔らかい。体から曲が出てくる感じ」。
回転ジャンプはまだ2種類しか跳べなかったものの、見たことのないセンスがある。
歌子先生は、楽しくて凝った振り付けになったが、高橋少年はそれを1週間足らずでものにしてしまった。
その姿に、「この子は絶対、世界に出ていく」と感じた。ここから二人三脚が始まる。
人生には、出会いがある。転機がある。転換点がある。人生を生きて、あとで振り返るとき、あの時が、というターニングポイントがあるものだ。
高橋大輔選手にとって、日本のフィギュアスケートにとって、否、日本の、世界のスポーツ界にとって、2000年夏、仙台での高橋少年と歌子先生の出会いは、まさにターニングポイントである。
2000年は、平成12年であり、21世紀最後の年である。この年のお二人の出会いがなかりせば、高橋大輔選手の今日はなかったかも知れない。かも知れないでなく、なかったと言ってもいいだろう。
ちなみに、2000年夏に仙台の地で、急用で帰ってしまった振付師とは、今でもテレビのフィギュアスケートの解説で登場する。オヤジギャグ連発みたいな解説しかできないオヤジだ。頭も大分薄くなってきた印象で、それでいてピンクがかったシャツを着たりしている。そのセンスは、?付きだ。
個人的には、ギャグオヤジが降りて、歌子先生が代打登場してくれたのは、快挙、しかも歴史的快挙だと思う。
やはり、神様は、よく見て下さる。ということだ。
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