スタップ疑惑・「早稲田の森は泣くしかない」
津軽のシニアブロガーは、時事問題に関してもブログ記事を書く。ありがたいことに、それに対してコメントを頂戴することがある。
頂戴したコメントの中身については、自分なりに考えてみる。考えてみた結果を基にして、またブログ記事を書くこともある。
2014年7月30日付けで、スタップ疑惑・「小保方博士論文、黒を白」と題するブログ記事を書いて投稿した。
ありがたいことに、それに対してコメントを頂戴した。そこで、コメントの中身について理解することに努めるとともに、当初のブログ記事についても、改めて吟味してみた。
そこいら辺について、今回、改めてブログ記事を書いた。
スタップ疑惑の小保方晴子氏は、早稲田大学の卒業生で、同大学から博士号の学位を授与されている。
7月17日、小保方晴子氏の「博士論文」をめぐり、早稲田大学の調査委員会(委員長・小林英明弁護士)は、記者会見を開いた。同調査委員会は、「博士論文」には、数々の「問題点」を指摘しつつも、小保方氏の行為が「学位取り消しの規定にあたらない」と結論付けた。
しかし、驚くことに、早稲田大学調査委員会が下した結論に至る論理展開は、結局、黒を白と言いくるめるようなものだ。
早稲田大学調査委員会が記者会見場で配布した報告書の中身を読んでみると、唖然とする。
報告書は、まず、「本件博士論文には、上記のとおり多数の問題箇所があり、内容の信憑性及び妥当性は著しく低い。そのため、仮に博士論文の審査体制等に重大な欠陥、不備がなければ、本件博士論文が博士論文として合格し、小保方氏に対して博士学位が授与されることは到底考えられなかった。」と認定している。
これは、どういうことか。
まず、小保方博士論文には、多数の問題箇所があり、内容の信憑性及び妥当性は著しく低い、つまり、内容の信憑性及び妥当性において、小保方博士論文はアウトだとしているのだ。
次に、小保方博士論文が博士論文として合格し、博士学位が授与されたのは、博士論文の審査体制等に重大な欠陥、不備があったからだとしている。
要するに、重大な欠陥、不備があって博士論文を審査する能力がない審査体制等が、博士論文として合格する要件を欠く小保方博士論文を合格させてしまった、と報告書が認定しているのだ。
それじゃ、当然、小保方氏に対する博士学位は取り消しになるんでないの。
本来、小保方氏に対する博士学位の取り消しがなされてしかるべきであるのに、それをしないために、早稲田大学調査委員会は、無理な論理構成を持ち出す。
同調査委員会報告書曰く。
「不正の方法」と「学位の授与」との間に因果関係(重大な影響を与えたこと)が必要と解釈すべきであるところ、本研究科・本専攻における学位授与及び博士論文合格決定にいたる過程の実態等を詳細に検討した上で、「上記問題箇所は学位授与へ一定の影響を与えているものの、重要な影響を与えたとはいえないため、因果関係がない。」と認定した。
その結果、本件博士論文に関して小保方氏が行った行為は、学位取り消しを定めた学位規則第23条の規定に該当しないと判断した。
しかし、よくもこんなひどい論理展開をするものだ。
学位取り消しに当たるかどうかは、「不正の方法」と「学位の授与」との間に因果関係があるかどうかであって、重大な影響を与えたことという要件はない。「不正の方法」に該当する行為があり、それによって「学位の授与を受け」たと認定できれば、アウトである。
報告書中にある「上記問題箇所は学位授与へ一定の影響を与えている」ことで、必要かつ十分にアウトであり、報告書中にある「重要な影響を与えたとはいえないため、因果関係がない。」は、誤った法解釈である。
7月31日、ありがたいことに、東風さんがスタップ疑惑・「小保方博士論文、黒を白」のブログ記事に対し、コメントして下さった。コメントには「調査委員会の指摘は実は厳しい」とのタイトルが付いている。便宜上、段落と番号を付させていただく。東風さん曰く。
① 一般には受け狙いでよいが大学の調査委員会となると判断には一つ一つちゃんとした論拠がいります。
② 日本の大学の博士号は査読論文(発表したら博士の能力ありと看做される)を出していれば博士の実力ありと看做されあとは博士論文をかくだけとなります。
③ 調査委員会の指摘は査読論文を発表し既に博士の実力を有した小保方さんがあとは書くだけの博士論文を指導教員の指導不足によって未熟なままに提出したという判断がされています。これは大学にとっては小保方さんの博士を剥奪する以上に厳しい指摘です。
④ この辺りが一般の報道では余り注目されていませんので詳しい方でないと分りづらい報道になっております。またこの指摘がないと大学自身が今後何を改善してよいのかが曖昧になってしまいますので調査委員会の厳しい指摘は要をつかんだ内容になっています。
⑤ 報告を受け今度は大学が博士を剥奪するかどうかの判断を下すことになります。その際は調査委員会の指摘に応える改革が織り込まれることが重要です。
⑥ 単なる剥奪だと制度改善(特に審査の仕組)が進まずにたんなるトカゲの尻尾切りとなりますのでこんかいの調査委員会のやり方は適切だと存じます。
コメントの②と③にある査読論文とは、査読付き論文とも称される。専門誌に論文を投稿すると、査読者が選出され、論文を精査する。内容に誤りが認められず、かつ、新規性が認定されれば査読に合格となり、専門誌に掲載される。このようにして掲載が決定された論文が査読付き論文であり、研究業績として認められることになる。
多くの大学では、査読付き論文を数件保有していることが博士学位の審査を受けるための必須条件となっている。
東風さんのコメントの②と③によると、小保方氏は、査読付き論文を保有し、博士の能力ありとみられていたが、あとは書くだけの博士論文を未熟なままに提出したと判断された。
しかし、この点は理解し難いところであり、査読付き論文を保有して博士の能力ありとみられるほどに実力があるのであれば、普通に博士論文を書けばいいだけの話だ。実力がありながら博士論文を未熟なままに提出するということ自体、考えられないことである。博士論文を未熟なままに提出するのは、博士の能力なしを意味する。
コメントの③では、「あとは書くだけの博士論文を指導教員の指導不足によって未熟なままに提出したという判断がされていることは、大学にとっては小保方氏の博士を剥奪する以上に厳しい指摘」である旨が述べられている。
しかし、私に言わせれば、指導教員の指導不足どころか、指導教員に指導力なしである。指導教員としての能力と資格なしだ。そして、その点に係る指摘は、大学にとって厳しい指摘ではない。だって、指導教員としての能力と資格を有することは、当り前の話であって、それがなしとの指摘は、厳しいというよりは唖然とする内容の指摘である。
コメントの④について申し上げれば、早稲田大学の「重大な欠陥、不備があって博士論文を審査する能力がない審査体制等」を他のあまたの大学できちんと機能している審査体制等に習って直せばいいだけの話だ。何も難しい話でない。要するに、早稲田大学の審査体制等がひどすぎるのだ。
コメントの⑤について申し上げれば、早稲田大学が小保方氏の博士学位を取り消すことはない。早稲田大学調査委員会は、無理な論理構成を持ち出して、黒を白と言いくるめ、小保方博士論文について数々の「問題点」を指摘しつつ、「学位取り消しの規定にあたらない」と結論付けているのだ。 なのに、早稲田大学が小保方氏の博士学位を取り消すなんて、あるわけがない。
早稲田大学が小保方氏の博士学位を取り消すことはない。早稲田大学が小保方氏以外の博士学位を取り消すこともない。まあ、早稲田大学が調査委員会の指摘に応えるような改革は行うだろう。しかし、それは、改革というまでもなく、他のあまたの大学できちんと機能している審査体制等に習って体制を整えるだけのことだ。
コメントの⑥について申し上げれば、今回の早稲田大学調査委員会の報告は、単なるトカゲの尻尾切りすらしないという結論になっている。
早稲田大学調査委員会が小保方博士論文問題の本質を深刻に受け止めるのであれば、結論は、次のとおりとなるのでなければならない。
① 「本件博士論文に関して小保方氏が行った行為は、学位取り消しを定めた学位規則第23条の規定に該当する」。
② 早稲田大学は、これまでのすべての博士論文に関して「学位取り消し規定の該当性」について調査せよ。
③ 早稲田大学の「重大な欠陥、不備があって博士論文を審査する能力がない審査体制等」を他のあまたの大学できちんと機能している審査体制等に習って是正せよ。
しかるに、早稲田大学調査委員会は、単なるトカゲの尻尾切りすらしない。
これでは、早稲田の森は泣くしかない。
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