スタップ疑惑・「理研本体を解体再編すべし」
2014年2月にスタップ疑惑が持ち上がってから、一連の騒動がもう5か月ほど続いている。そのせいで、残念極まりないことに、日本の科学に対する世界中からの信頼、信用は、失墜してしまっている。
去る1月28日のスタップ細胞に関する記者発表時、スタップ疑惑三人組らは、得意満面で説明した。彼らが所属する理化学研究所は、疑惑三人組が理研内外の研究者と共同で開発したものであり、それは、同時に理研の研究成果であるとのスタンスできた。
しかし、スタップ疑惑がいよいよ世間を騒がせていた3月14日、理研は、記者会見を開いた。
その席上、野依理事長は、疑惑三人組を「未熟な研究者がデータをずさん、無責任に扱った」と断罪したが、「未熟な研究者」を生みだした理研が「未熟な研究所」であることに気づいていない風であった。
また、理研発生・再生科学総合研究センター(CDB、神戸市)の竹市センター長も、「論文の体をなしていない」と語り、疑惑三人組らに論文を撤回するよう求めたことを明らかにしたが、「論文の体をなしていない」論文の対外的発表を許容した理研が「組織の体をなしていない」ことに気づいていない風であった。
理事長も、センター長も、自分たちにも重大な責任があることを自覚していないような、印象である。困ったものだ。
6月13日、産経新聞の配信ニュースは、理研が設置した外部識者による改革委員会(岸輝雄委員長)が前日に発表した理研の大幅改革を盛り込んだ再発防止の提言書について伝えた。配信ニュース曰く。
① 岸委員長の説明は厳しい内容だった。小保方氏の研究データの記録・管理を「きわめてずさん」と指摘。論文作成を指導した笹井芳樹副センター長(52)に関しても、小保方氏の経験不足を認識しながら、「小保方氏の過去のデータを批判的に再検討・再検証することなく信用し、多くの誤りを見逃した」と断罪した。
② 報告書はセンターのトップである竹市雅俊センター長(70)にも言及した。小保方氏について笹井氏と同様の認識がありながら、データの記録や管理について「確認・指導を行う責務を実施していないばかりか、そのような責務を負っていることを認識さえしていないことをうかがわせる」と批判した。
③ 会見で「ずさん」という単語が何度も飛び出し、岸委員長はセンターについて「ここまでのことが起きたときは解体して出直すことが要求される」と提言。
④ 改革委の厳しい目は理研本体にもおよび、ガバナンス(統治)体制の変更や外部有識者のみの調査・改革監視委員会の設置を求めたが、岸委員長は理研の野依(のより)良治理事長(75)の責任について、「自分で(進退を)考えると思う」と話した。
改革委員会が、スタップ疑惑の張本人らについて厳しく断罪したのは当然であるが、CDBの竹市センター長と理研の野依理事長についても厳しく指摘している。
竹市センター長について、小保方氏のデータの記録や管理について「確認・指導を行う責務を実施していないばかりか、そのような責務を負っていることを認識さえしていないことをうかがわせる」と指摘する。
これは、CDBという組織の長として無能だ、と言っているのだ。
更に、野依理事長の責任について、岸委員長が「自分で(進退を)考えると思う」と話したのは、ノーベル賞受賞者の野依氏に気を遣っただけで、責任を取って辞めろ、と言っているのだ。
そして、極め付きは、CDBを解体せよ、ときた。
今回の理研の改革委員会の指摘は、CDB、理研発生・再生科学総合研究センターの全否定である。CDBのあれもこれも、すべてが零点だから、解体せよ、と言っているのだ。CDBという組織の実態がよっぽどなっていないということだ。
どのような組織の改革委員会であれ、今回のような極端な改革提言が出ることは、あり得ない。なぜかなれば、改革を提言してもらう側の組織が自ら改革委員会のメンバーを決めるからである。
改革委員会のメンバーの人選に当たっては、改革提言の落とし所を想定したうえで、そこから言わば逆算してメンバーを決めるものだ。
理研は、改革提言の落とし所を吟味もせずに、漫然とメンバーを人選したと考えざるを得ない。その挙句が、CDBの全否定の提言である。この一事を見ても、理研にはガバナンス(統治)能力が欠如している。
「未熟な研究者」を生みだした理研は、まさに「未熟な研究所」であることを自分たちの行動で世間に対して実証してみせたことになる。
ここまでくれば、CDBの解体どころか、理研本体の解体再編をしたうえで、出直した方がいい。
スタップ疑惑・「理研本体を解体再編すべし」である。
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