わさお日記

わさおの時事川柳・五行歌、俳句、短歌、十行歌、その他

わさおの俳句ポスト投稿・句を読み込む力

 津軽を本拠地とする俳句集団「宇宙(そら)」は、俳句作りの研鑽、活躍の場を、専ら「俳句ポスト365」への投稿によっている。「俳句ポスト365」は、愛媛県松山市が運営する俳句の投稿サイトだ。

 「俳句ポスト365」のいいところはたくさんある。そのうちなんといっても、当代超一流の俳人、夏井いつき先生が俳句作りについて懇切丁寧に教えて下さることである。

 俳句集団「宇宙(そら)」の主宰を務める俳人津軽わさおは、他のメンバー4人をリードしていくため、毎回、天の俳句、地の俳句について、じっくり研究している。
 

 「俳句ポスト365」の第132回 2015年10月29日週の兼題は、「ねんねこ」である。俳句集団「宇宙(そら)」のメンバーによる「ねんねこ」に対する投稿結果は、1人選、4並選の全員入選を飾った。

 この回、全体3,000句中の栄えある一等賞の天の句は、どんな句か。天の句及び選者の夏井いつき先生の講評を抜粋して以下に掲げる。

 ねんねこより初めて見しは荒るる海 雪うさぎ

 「ねんねこ」という季語をつぶやいただけで、背負われている赤ん坊と背負っている人物がそこに存在します。「ねんねこ脱ぐ」「ねんねこ畳む」と動詞を添えない限りは、季語「ねんねこ」は二人の人物が存在することを語っているのです。そんな「ねんねこ」という季語の特性を踏まえて作られたこの作品。

 「ねんねこ」という言葉に出会うと、必ず想い出すのがあの日のあの「荒るる海」。母におぶわれた「ねんねこ」の中の記憶は、幼心に刻印されています。初めてやってきた両親の生まれ故郷でしょうか。何かの理由で、両親はこの町を追われたのでしょうか。はたまた、夜逃げ同然にたどりついた未知の町か。「ねんねこ」の中の赤ん坊であるワタクシと、「ねんねこ」の母はこの後、どんな人生を送っていくのか。読み手の想像はどんどん広がっていきます。

 「ねんねこ」という季語の成分には、そのあったかさ、幸福感に満ちた匂いなどが内包されているわけですが、この句はそれらの要素を逆手にとりつつ、「ねんねこ」の本意を表現します。「荒るる海」から吹く風の凶暴な冷たさ、不安を募らせる潮の匂い、「ねんねこ」から出ている顔の凍るような冷たさ、「ねんねこ」に包まれた体の暖かさ、母の酸っぱく甘い匂い。たった十七音から、読み手に果てしない物語を感知させる言葉の力を堪能させてもらった作品です。

 そして、この回、地の俳句10句は、どんな句か。そのうちの1句及び選者の夏井いつき先生の講評を抜粋して以下に掲げる。

 二丁目の魔子のねんねこ金のラメ 鈴木麗門

 「二丁目の魔子」は、もちろん愛称、通称、源氏名というやつでしょう。ホステスか、娼婦か、ストリッパーかと、読み手の想像はどんどん膨らんでいきます。


 夏井いつき先生の講評の中で一番目に付くのは、次のように、「俳句の読み手の想像」というポイントである。

「ねんねこ」という言葉に出会うと、必ず想い出すのがあの日のあの「荒るる海」。母におぶわれた「ねんねこ」の中の記憶は、幼心に刻印されています。初めてやってきた両親の生まれ故郷でしょうか。何かの理由で、両親はこの町を追われたのでしょうか。はたまた、夜逃げ同然にたどりついた未知の町か。「ねんねこ」の中の赤ん坊であるワタクシと、「ねんねこ」の母はこの後、どんな人生を送っていくのか。読み手の想像はどんどん広がっていきます。

 「二丁目の魔子」は、もちろん愛称、通称、源氏名というやつでしょう。ホステスか、娼婦か、ストリッパーかと、読み手の想像はどんどん膨らんでいきます。

 津軽わさおが思うに、俳句の作者は、読み手の想像というポイントを大事にし、詠み込む力を養わなければならない。そして、俳句を詠み込む力と読み込む力は、表裏一体のものだ。

 読み手の想像が広がるように、詠み込む力。それは、読み手はどこまで想像するかという、読み込む力でもある。今後は、読み込む力と詠み込む力の両方を意識しつつ、俳句修業に取り組みたい。


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