わさお日記

わさおの時事川柳・五行歌、俳句、短歌、十行歌、その他

シニアナビ・素晴らしき物語、「南部裂織」

 今回、シニアナビで、Yさんの投稿によるギャラリー作品「鯖」を観させていただいた。このことに端を発し、関連するYさんのブログ記事を読ませていただいた。

 そこには、一つの物語があり、津軽わさおは、いくつもの大事なことを学ばせていただいた。

 そのことについては、シニアナビ・素晴らしき物語と題し、何編かのブログ記事に書いた。そして、今日のブログ記事「南部裂織」をもって、シニアナビ・素晴らしき物語の締めくくりとしたい。

 
 我が青森県は、日本海に面する津軽(つがる)と太平洋に面する南部(なんぶ)に大別される。津軽と南部とを地理的に分けるのは、県の中央を走る八甲田山系だ。

 県民が話す言葉は、津軽津軽弁、南部は南部弁であり、二つの言葉は、まったく異なる。津軽と南部では、話す弁だけでなく、気候、作物、文化、気質などなど、異なる。

 明治維新まで、それぞれ、津軽津軽藩、南部は南部氏領の八戸藩支藩七戸藩の領地に分かれていたという歴史がある。

 で、今、書こうとしているのは、「南部裂織」についてである。


 「南部裂織」とは、南部で織り上げられている裂織(さきおり)である。裂織とは、古くなった布を細かく裂いて麻糸などとともに織り上げた織物をいう。言わば、古い着物の再生衣料である。

 百科事典のウィキペディアは、裂織について次のように解説してくれる。

① 裂織は、江戸時代中期、寒冷な気候のため綿や絹などの繊維製品が貴重だった東北地方にその端緒を見る。

② 木綿の着物導入後も、貴重品として「使い切る」文化の中で裂織文化が発展した。最後まで布を捨てることなく活用し、次々に新たな用途へと甦らせる文化を背景として裂織は広く行われていった。

③ 古手木綿にはさまざまな色合いの端布が混ざっており、その継ぎ接ぎで色の組み合わせを楽しんだり、次いで裂織を織るときには緯糸となる端切れの微妙に異なる色合いの組み合わせを楽しむなどして、民芸品としての性格も帯びるようになっていく。

④ 明治時代以降の貿易の振興に伴って繊維は手に入りやすくなり、裂織はあまり織られなくなった。一方で、近年その独特の風合いや芸術的側面に光を当て、創作活動として裂織を見直す動きがある。

⑤ 素材は必ずしも古布とは限らず、布の染め方や裂き方などに多くの工夫を凝らして複雑なデザインに挑戦する芸術家も登場しつつある。

 
 Yさんは、「着物の再生」をなさる方である。

 最近、高知県土佐市宇佐町にある宇佐漁港近辺の高齢の女性から「着物からワンピースを~」との依頼を受け、それを仕上げられた。

 依頼主の女性は、80代の方であり、宇佐漁港では、自分で漁船を操縦し、一人で漁をする、ただ一人の女性である。つまり、現役バリバリの「80代の女漁師」の方なのだ。凄いことだよね。

 Yさんのブログ記事の中には、「着物からのワンピース」の写真が載っている。ごく薄いピンク地に薄赤と薄緑のハート似の模様が点在し、ワンピースの裾はちょっと幅広の赤のレース地になっているのは、素敵だ。おしゃれである。
 

 大事なことは、古い着物からワンピースを作ることで、古い着物に命を吹き込むことができる。

 Yさんが手掛けられる「着物の再生」も、「南部裂織」も、その精神が尊い。日本って、日本人って、素晴らしい。

 今回のことで、Yさんに深く感謝するとともに、厚く御礼申し上げつつ、筆を置くことにする。



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