桐生祥秀選手・「9秒台はこの次の楽しみだね」
アスリートが超一流の技量を発揮する瞬間ほど、面白いものはない。それが日本新記録とか世界新記録とかの瞬間であれば、ワクワク、ドキドキである。
2015年4月19日に広島の「エディオンスタジアム広島」で行われた織田記念国際陸上の男子100m。まさに、日本新記録がかかった試合で、それも桐生祥秀選手が日本選手前人未到の9秒台を出してくれることを日本中が期待した。
津軽のシニアブロガーは、テレビ観戦に当たり、桐生祥秀選手が夢の9秒台を出してくれるものと、勝手に決めつけていた。日本中の陸上ファンは、みんな似たようなものだったろう。
日本選手が9秒台で走る歴史的瞬間をこの目で観たい。凄いだろうな。想像するだけで、ワクワクする。
こういうワクワク感を持たせてくれることだけでも、桐生祥秀選手には感謝しなければならない。
2015年4月19日の日曜日。買い物等の用事をいち早く済ませ、テレビの前に陣取る。
なんたって、日本選手が男子100mで10秒を切る瞬間は、歴史上初だもの。何を置いても観なければならない。
14時30分。決勝レースの15分前。桐生祥秀選手には、緊張感が漂う。当たり前だよね。
スタート直前。桐生祥秀選手は、青ざめて観える。緊張するな、ったって、無理だよね。
さあ、スターティングブロックのセットだ。雨降りのコンディションが気になる。雨の中、桐生祥秀選手に注がれる大勢の観客の視線。桐生祥秀選手への期待は、いやがうえにも高まる。
さあ、スタートだ。スタジアムは静まり返る。観客も緊張しているのだ。
スタートの号砲が鳴る。しかし、ストップがかかる。まずいな。フライングかと思ったら、そうではなく、先に動いた選手がいて、警告が出された。
だめだ、こりゃ。選手の集中力が切れてしまう。一瞬、9秒台は出ないんじゃないか、の思いがよぎる。
再スタート。桐生祥秀選手の走りは、硬い。どうしたの? あれ、まずい。負けちゃうの?
結果、桐生祥秀選手は、10秒40で、2位タイだ。
桐生祥秀選手が敗れ去った要因を考えてみる。
①雨降りのコンディション、②スタートのやり直し、③右隣の選手の棄権による不在などが考えられる。が、①と②は、他の選手も同じ条件下だ。やはり、9秒台で走ることに対する日本中の期待が桐生祥秀選手へのプレッシャーになったのだろう。
どえらい力を発揮するとはいえ、桐生祥秀選手は、まだ19歳の若者だもの。プレッシャーたるや、大変なものだろう。
試合直後のインタビューで、桐生祥秀選手は、「実力不足です。自分の土台作りが甘かったです。9秒台を目指し、次また頑張ります」と語った。
弱冠、19歳のこの若者は、負けて、ゴチャゴチャは言わない。見えを切ることもなく、シンプルだ。実際は、悔しくてたまらないのだろうが。ここが桐生祥秀選手のいいところだ。この若者は、素晴らしい。
津軽のシニアブロガーは、今回のレースを観て、勝負とは難しいものだと思う。
2015年3月28日にアメリカのテキサス州オースティンで行われた陸上の大会「テキサス・リレー」の男子100m。この試合、桐生祥秀選手は、9秒87をマークして優勝した。
この記録は、追い風3.3mであったため、公認はされないものの、桐生祥秀選手は、とにかくダントツに速かった。桐生祥秀選手は、一緒に走った外国選手たち、いかにも早そうな黒人選手たち、デカイ彼らを置いて行くのだ。
これは本物の強さだ。桐生祥秀選手は、とてつもない力を付けていることを証明して観せた。
でも、今回は、10秒40で2位タイと敗れた。
だが、人生、ものは考えようだ。順調にいくのはいい。順調にいかなくても、それをプラスに持っていくことはできる。
桐生祥秀選手は、今回すんなりと9秒台を出し、9秒台ランナーの階段をとんとん拍子に登っていくことには失敗した。けれども、かえって、このことが彼がとてつもなく強い選手になるうえで糧になる。
9秒台はこの次の楽しみだね。頑張れ、桐生祥秀選手!! 頑張れ、桐生祥秀選手!! 頑張れ、桐生祥秀選手!!
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