アンチエイジング・「NHKのど自慢、お富さん」
人生80年時代から人生90年時代に移行しつつある今、いつまでも若々しくありたいものだ。いわゆるアンチエイジングをモットーとした生き方が望ましい。
アンチエイジングとは、アンチ=anti- 「反」「対」「抗」「…でない」、エイジング=ageing 「経時」(時を経る) 老化 であるから、加齢による身体の機能的な衰え(老化)を可能な限り小さくすること、言い換えると、いつまでも若々しくあること、だ。
そのためには、食事、運動、精神に気を配る必要がある。何の努力もしないで、アンチエイジングが奏功することは、まずない。
食事は、栄養面を考えてバランスよく取ることだ。運動は、足腰の筋肉を鍛えることだ。精神は、よく笑うことだ。アハハ、オホホ、と笑っているだけで、アンチエイジング・ホルモンの分泌が活発になり、免疫力が高まる。
何も難しく考える必要はない。以上のことを地道に実行し、継続することだ。信じる者は救われる。継続は力なり。
アンチエイジングを実践するうえで、アンチエイジングの先達、人生の大先輩たちの実際例が、当然、参考になる。論より証拠だ。
論より証拠の一つは、「NHKのど自慢」を観ていると出てくる。
「NHKのど自慢」には、さまざまな素人が出場し、のど自慢を披露する。幅広い層の朗若男女が歌い、司会者やゲスト歌手とのトークのやり取りがおもしろい。
そして、日本各地にはさまざまな朗若男女がいるのを知ることができ、人生って、おもしろい。
中でも、時として、アンチエイジングの先達には目を見張る。
2015年2月8日の日曜日、栃木県小山市で開催の「NHKのど自慢」。小田切千アナウンサーの司会ぶりは、相変わらずの味があって、楽しめる。
ここでは、アンチエイジングの先達が二人登場した。
一人目は、男性だ。
小田切アナウンサーが91歳だとコールする。この91歳の男性は、頭がそれなりに禿げているものの、長身で大きく、堂々とした体格だ。偉丈夫と呼ぶにふさわしい。
背筋をピンと伸ばし、朗々と歌う。それなりに上手い。「NHKのど自慢」だから、当然、何も見ないで歌う。その姿は、80歳くらいにしか観えない。歌い終わった瞬間、なぜか、若い時は、モテただろうなと思わせる。
小田切アナウンサーがたずねる。「若さの秘訣は何ですか?」。これに対し、先達曰く。「自分の身体のことをよく知って生活することです」。
聴いていて、なるほどと思う。アンチエイジングの先達がおっしゃることは、実に説得力がある。
二人目は、女性だ。
かなりの高齢者で、腰が少し曲がっている。だけど、一人で立って歌う。「NHKのど自慢」だから、当然、何も見ない。歌は、春日八郎の「お富さん」だ。エッ、女性が春日八郎の歌を歌うの。
粋な黒塀 見越しの松に
仇な姿の 洗い髪
死んだ筈だよ お富さん
生きていたとは お釈迦さまでも
知らぬ仏の お富さん
エーサオー 玄治店(げんやだな)
この歌は、シニアであれば、知らない者がないほどに馴染みがある昭和の有名歌である。これを高齢女性は、手振りよろしく歌いきった。大したものだ。
小田切アナウンサーがたずねる。「何歳ですか?」。答える。「95歳です」。会場がどっと沸く。「なぜ、この歌を歌ったんですか?」。答える。「自分の名前と同じだからです」。会場が爆笑に包まれる。
小田切アナウンサーとのやり取りで、「お富さん」が語る。「いつも私がこの歌を歌うものだから、ひ孫が覚えてしまって、歌うんですよ。死んだ筈だよ お富さん、って。」
その瞬間、テレビカメラが客席にいる「お富さん」の家族を映し出す。何人もの家族の中に、「死んだ筈だよ お富さん」と歌ってくれる、ひ孫の少女二人の笑顔がある。
「お富さん」の歌が世に出たのは、昭和29年だ。だから、「お富さん」は、35歳の時から60年間歌ってきたわけだ。凄いよね。
結局、栃木県小山市で開催の「NHKのど自慢」では、「お富さん」が特別賞に輝いた。91歳の偉丈夫は、レディファーストを心得ているのである。
それにしても、95歳の「お富さん」も、91歳の偉丈夫も、共にアンチエイジングの先達は、凄く素晴らしい。人生って、いいね。
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