今年の漢字・「税」と総選挙
師走に入り、なにかとあわただしく日々が過ぎ去る中、12月12日、日本漢字能力検定協会が恒例の「今年の漢字」を決定して発表した。
2014年の世相を表す「今年の漢字」は、「税」である。「税」が選ばれたのは、国民の税金に対する関心がいかに強いかを表している。
2014年は、4月1日から、消費税率が5%から8%へ引き上げられた。そして、2015年10月1日から、消費税率の8%から10%への再引き上げが予定されていたところ、安倍政権は、消費税率引き上げ等による景気低迷を理由として、再引き上げを1年半延期し、2017年4月1日からとする方針を決定した。
安倍首相は、景気低迷を理由とする消費税率再引き上げの延期について、国民に信を問うとして、衆議院を解散したが、その総選挙の投票日は、来る12月14日である。
消費税に関し、これだけの動きがあれば、国民の税金に対する関心が強くなるのは、当然である。
問題は、国民の一人として、消費税率再引き上げを巡る政治情勢について、どう考えるかだ。
まず、消費税増税法の付則第18条2項は、「経済状況等を総合的に勘案した上で、消費税率の引き上げの停止を含め所要の措置を講ずる」と規定している。これがいわゆる景気弾力条項と呼ばれるものだ。
今回、景気弾力条項に基づき、消費税率再引き上げの延期をするのは、正しい措置である。そして、それを確定するためには、予算案なり法案処理なり、国会審議を通じて行えばいいだけの話しだ。
なにも、景気低迷を理由とする消費税率再引き上げの延期について、国民に信を問う必要はない。暮れの忙しい時期に、何百億円もの血税を使って、総選挙をする理由はない。
解散・総選挙による政治空白を作ることなく、粛々と、早め早めに、景気対策に効果的な措置を講じなければならないはずだ。
しかし、安倍首相は、解散・総選挙に踏み切った。「今なら勝てる解散」と命名する向きもあるが、今の野党の体たらくからすれば、自民党は、いつだって勝てる。なにも、今でなくていい。
安倍首相は、消費税率再引き上げの延期を理由に解散・総選挙を打ち出しながら、取って付けたように、「アベノミクス解散」と呼称し、それを強調している。しかし、元々、アベノミクスの効果が2年ほどであまねく国中に波及するわけもない。だから、解散する暇があったら、景気対策に精励せよ、だ。
そして、安倍政権のやり方に不信感を抱くのは、景気弾力条項に基づき、消費税率再引き上げを2017年4月1日からに延期しながら、この次は、つまり、2017年4月1日からは必ず引き上げることとし、景気弾力条項を撤廃する、としている点だ。
安倍政権よ、気は確かか、と言いたい。
今回の消費税率再引き上げの延期は、景気低迷を理由とするもので、景気弾力条項に基づく。つまり、景気が悪くて、とても再引き上げできないから、延期するのだ。
景気弾力条項を撤廃して、必ず再引き上げするとなれば、景気が悪くて、とても再引き上げできる状況になくても、再引き上げすることになってしまう。そんなのでいいの? それじゃ、理屈も何もなしのムチャクチャだ。
以上、縷々述べた理由により、今回の解散・総選挙には反対だ。したがって、自民党には投票しない。
それじゃ、野党のどこかに投票するのか。残念ながら、今の野党には投票に値するところはない。どれを観ても、なにもやれない政党ばかりだ。
民主党政権時代を振り返れば、統治能力なしの集団に政権を与えたようなものだ。あのまま行っていれば、日本は滅びる危険に直面しただろう。総理大臣の能力がない人間が総理大臣になったという恐ろしさ。鳩山氏しかり。菅氏しかり。民主党政権で評価できるのは、野田氏が消費税率引き上げへのきっかけを作ったくらいのものだ。
政治能力なしの民主党はじめ野党の現状。おそらく、今回の総選挙で、社民党は壊滅するだろう。
自民党の理不尽なやり方に反対し、自民党に投票しないとなっても、逆に、投票に値する野党がない。これが日本の政治情勢の悲しい現実である。
選挙の投票は、国民の権利であると同時に、義務である。今まで、棄権したことはない。だから、投票には行く。しかし、投票する政党がない。こんな場合、さて、どうするか。
まあ、以上のことをもう一度考えながら、あと一日改めて考えてみることにしよう。
私の人気ブログランキングへの応援のため、
ポチッと↓をクリックお願いします。