わさお日記

わさおの時事川柳・五行歌、俳句、短歌、十行歌、その他

錦織圭選手・「恩人」

   2014年9月9日、テニスの錦織圭選手が、男子シングルスで、日本選手初の全米オープン準優勝を成し遂げた。

 錦織選手は、テニスの男子シングルスで、日本選手として、四大大会では81年ぶり、全米オープンでは96年ぶりにベスト4進出を果たした。その準決勝も、世界王者であるセルビアジョコビッチ選手を撃破し、初の決勝進出を決めた。

 決勝では、クロアチアのチリッチ選手に敗れたものの、堂々の全米オープン準優勝という歴史的快挙である。錦織選手が成し遂げた歴史的快挙の話題に日本中が沸騰した。

 何のスポーツ種目においても、歴史を創るのは、素晴らしい。それが96年ぶりのベスト4進出を果たしたうえで日本選手初の全米オープン準優勝となると、なおさら素晴らしく思える。

 気が遠くなるような長い期間、日本人がまったく歯が立たないできたテニスの世界。それを打ち破った錦織選手は、凄い。

 しかし、錦織選手が実現して観せた歴史的快挙の陰に、それを決定的に助けた恩人がいることを知ると、その恩人の助力もまた歴史的快挙であると言わざるを得ない。

 
 9月8日付けのスポーツ報知の配信ニュースは、錦織13歳での米留学支援のソニー元副社長・盛田氏「優勝して」、と題して、錦織圭選手の恩人について報道している。以下、この配信記事を踏まえながら、私見を述べさせていただく。

 錦織選手は、プロテニス選手を目指し、13歳の時、たった一人で渡米している。いくらテニスのプロを目指すためとはいえ、年端もいかない少年が単身渡米するとは、ただただ驚きである。

 錦織選手が鍛錬を積んだのは、テニス界の「虎の穴」ともいえるIMGニック・ボロテリー・テニス・アカデミーである。アメリカのフロリダ州にあり、世界中からテニス少年の俊英が集まる。

 その錦織少年を経済的に支援したのが「盛田正明テニスファンド(MMTF)」である。このMMTFの支援の仕方が素晴らしい。単に、優秀な少年選手に経済的支援をするというシンプルなものではない。

① まず、ファンドは、テニスにおける「世界レベルの日本人選手の育成」を目標にしている。少年選手に対する厳しい選考を経て、くだんのテニス・アカデミーに選手を留学させる。アメリカへの渡航費、テニス・アカデミーの授業料、遠征費など1人に年間数百万円を支給する。留学させる年齢は、18歳までのようだ。

② ファンドの目標が「世界レベルの日本人選手の育成」であるだけに、選手には毎年のように厳しい目標が課され、目標達成ができない場合は、日本に帰国することになる。

 この設定目標がいかに厳しいものであるか。現在留学中の2人を除いて過去17人を送り出したが、18歳まで留学をしたのは、錦織選手と西岡良仁選手(18)=ヨネックス=の2人だけ。

 要するに、「世界レベルの日本人選手の育成」を目的にしている以上、そのレベルに達し得ないと判定された時点で、即、帰国だ。当然かもしれないが、明らかに厳しい措置だ。

③ 奨学金の返済義務はないが、世界ランク100位に入った場合は、年間獲得賞金の1割を寄付するのが約束だ。錦織選手は、その約束をしっかり果たしているという。

 少年選手に対する厳しい選考を経て選ばれた過去の17人でも、世界レベルは、たったの2人だけだ。それでも、その世界レベルの選手が世界トップクラスになり、大いに稼いだ暁には、ファンドの原資にあてられるべく、寄付が増えることになる。

 このような経緯を振り返れば、錦織圭選手の今日あるは、「盛田正明テニスファンド(MMTF)」のシステムのおかげである。これがなかりせば、テニスの錦織選手なく、したがって、彼の全米オープン準優勝もない。

 つまり、ファンド創設者の盛田正明さん、御年87歳は、錦織圭選手の恩人であり、盛田正明さんの「盛田正明テニスファンド(MMTF)」の創設自体、結果的に、歴史的快挙である。


 スポーツ報知の配信ニュース曰く。

 正明氏は、ソニーを故・井深大氏とともに創業した故・盛田昭夫氏の実弟。井深氏から「他人のやれないことをやれ」と言われてきたことがファンド設立のきっかけになった。「才能のあるジュニア選手を海外で養成したらどうなるか」。ソニー副社長などを歴任し、経営者から身を引いた後、2003年に私財を投じて設立したのがMMTFだ。

 世界に冠たるエレクトロニクスのソニーと呼ばれた往時を思い出す。そして、盛田正明さんのファンド創設にソニー魂の真髄を見る。

 願わくば、現ソニーの全社員一丸となって、ソニー魂を復活させ、今一度、輝かしき栄光を取り戻してほしい。



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